大人ADHD 月子の生き方

アラフォーにして、突如『大人のADHD』と診断された月子。 迎えた転機に人生を見つめ直し、新たな生き方を模索すべく日々奮闘中!

自分が【大人の発達障害(自閉症スペクトラム・ADHD等)】だと気が付くきっかけについて考えてみる ~追記・発達障害だという診断は必要なのか~

昨日、4月2日の「世界自閉症啓発デー*1」にあわせて、啓発記事を書かせていただいたところ、大変多くの方々が見てくださったようです。

ありがとうございます!!


発達障害を広く知っていただくという主旨からズレて、発達障害をかかえた人が“自分が発達障害だということに気が付くことができる”のかという視点で書いてしまいました。
ですが、それが小さな気付きとなって、苦しい思いをしている人が1人でも多く前に進めるようになれば…と願って止みません。

↓ こちらが前回の記事です。

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今回、ひとつ付け加えて書いておきたいことがありまして。

前回の私の記事に対して、
『何に困っていて、周りの人とどうやり取りすればいいかさえ分かれば、診断はあまり重要ではないのでは?』
といったコメントをいただきました。

確かにそうです!
1人で「うーん。」と唸ってしまいました。

なぜ私は診断を受けた方がいいと一生懸命に書いたのか。ちょっと振り返って考えてみました。

 

病院で診断を受けることの意味 ~我が家のケース~

答えは幾つか考えられたのですが、
まずはこの話を。

“我が家において、夫婦間の話し合いだけではどうにも解決しようのないところまで来ていて、第三者を入れなければ家庭が崩壊の危機にあった。”

 

周りから理解してもらえない夫

お恥ずかしい話です。

全て私が原因なのですが、家庭を回すことが出来ない・1人で行動をしたがらない・仕事をしてるんだかしてないんだか分からない(ウチは自営業で2人とも基本的に家で仕事をしています) …そして、話し合いが話し合いにならない。


発達障害の程度にもよると思いますが、当事者はもちろんのこと家族への負担は想像以上にかかってきます。(私が書くなって感じですが…)
相手が出来ない部分をサポートすることが、どんなに大変なことか!
(発達障害を抱えながら、お一人で暮らしていらっしゃる方は凄いと思います。)

私は“周りから発達障害だと全く気づかれてなかった”ので、夫は余計に家庭内が大変な状況にあるということを誰にも理解してもらえなかったのです。
もちろん、そんな状態ですので相談相手もいませんでした。

私たち夫婦を知る友達や親に相談したところで、私がどれくらいできないのかが伝わる筈もありません…。
下手すると、夫が大げさに言っているのではないか、もしくは努力不足なのではないか。と受け取られることもありました。


『もう限界だ!この家はおかしい。』
『自分は精一杯しているつもりなのに、どうして伝わらないのか…。』
『離婚の相談をその手に詳しい弁護士さんにして、家の内情を聞いてもらいたい。』
『どこかに相談できる窓口はないのだろうか。』

このような言葉を私は何度も聞きました。
そして、その上で“離婚は嫌だ。なんとかするから!”とずっと突っぱねてきたのです。(私はなんて自分勝手なんだろう…と今でも思います。)


そして、最終的に辿り着いた答えが【発達障害者支援センター】に相談する…だったのです。

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診断を受けなければいけなかった理由

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発達障害者支援センターのことを知った夫は、相談をしてみる旨を私に伝え、電話をかけてみました。
しかし、電話先でまず言われたのが「病院で発達障害だと診断されないことには、利用は難しいです。」という言葉でした。

そう、発達障害者支援センターは“発達障害者だという診断を受けている人のための機関”だったのです。

そこで夫は『診断を受けることができる病院を紹介して欲しい』という話を切り出しました。
病院で診断を受けないことには、そういった機関を利用することが難しい…それならば、“病院へ診断を受けに行こう!”という流れになった訳です。

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現在、私がADHDだと診断されたことにより、夫婦の関係は変わりつつあります。

もちろん、今の段階では夫の大変さは変わっていません。
(まだ服用中のストラテラの効果は出ていないみたいだし、家庭内の改革を始めよう!というスタートラインに立ったばかりなので。)

ただ、夫婦一緒に病院へ行き、主治医に相談したり話を聞いたりすることにより、夫自身の気持ちも楽になってきたようです。
また、私が怠けていて色々なことができないわけではないんだと分かっただけでも、大きな収穫だったとのこと。
(今の気持ちとしては、私に色々と言っても無駄なのか…という諦め半分、私が服用中の薬が効いて、少しでもできるようになれば…という期待半分という感じみたいです。)


主治医のアドバイスのもと、これからの家族のあり方を考え、家庭内でできる工夫に取り組んでいく。私たち夫婦が前に進んでいく道筋ができてきそうです。

結果的に第三者となった主治医の存在のおかげで、私たちはまた改めて家族としての第一歩を踏み出すことができたのでした。

 

 

病院で診断を受けることの意味 ~必要性の問題~

パソコンと聴診器

自分で“発達障害があるかも”と思っているのと、病院で“発達障害があります”と診断されることの違いってなんでしょうか?


この話は、その人が発達障害によりどれくらい困っているのかという程度の問題に関わってくるのではないかと思います。

発達障害の程度が軽めな人(自分のコントロールが比較的できる人)またはグレーゾーンにいる人ならば、自分が発達障害かも…と感じているポイントを客観視することが可能だと思います。
客観視することで、ある程度自分自身で困っていることへの工夫なり、周りとのコミュニケーションの仕方や接し方を意識してみたりということができるのではないでしょうか。

そういう方ならば、無理に診断を受ける必要はないかな?と私も思います。


問題は、自分で気が付けたとしても自分自身のコントロールが上手くできない人、どうしても周りのサポートが必要な人など、こういった方々です。

先に書いたように、専門の機関等を利用するとなると必ず診断が必要になってくるのではないかと思います。

また、診断を受けることにより自分自身の発達障害の内容や程度がより詳しくわかるならば、その後のアドバイスの受け方や工夫の仕方、ひいてはその後の生き方にも影響してくるのではないでしょうか。

特に、ADHDの場合は効果的な治療薬があるので、診断を受けた方がいいかと思います。(もちろん、診断を受けたとしても飲む・飲まないは自分で選択できます。)


もしかすると、自分で『私はADHDだと思う。』と言うのと、病院で『ADHDだと診断された。』というのでは、周りの対応や理解の得られ方が違ってくるかもしれません。(これは、発達障害だということを盾に取り、色々な権利を主張するという意味ではないです。誤解なきよう…)

私自身においては診断を受けたことにより、自分のことを客観的にみるように意識することができ、夫に関しては理解を示してくれ、私への指示の出し方が変わりました。

 

 

個性なのか発達障害なのか“グレーゾーン”の存在

グレーゾーンとは、
“発達障害の症状には当てはまる部分があるにもかかわらず、 病名をつけるまでの診断基準には満たされず、病名がつくかつかないかの境界にいる状態のこと”
を言います。

グレーゾーンの中には、発達障害の診断がつかないのに、とても苦労をし、苦しい思いをしている…そういう方もいらっしゃると思います。

特に知能が比較的高い方は、病院で「発達障害の傾向がある」ぐらいの診断をされて終わる場合があります。


実は私自身、現在の病院に通院する前に一度、紹介で大学病院の精神神経科にて発達障害があるかどうか検査をしていただきました。

その時は『WAIS-III(ウェクスラー成人知能検査*2)』という知能検査を受けたのですが、その結果が総合的に高めで、一番低い数値が出た部分もIQ100以上を超えている状態でした。

その結果を見た先生から。

「お二人(私たち夫婦)の話を聞いてる限りでは“アスペルガーの傾向があるかも”と思っていましたが、この結果からは診断するのは難しいですね。“個性の範囲内”でしょう。」

そう、結果として私は発達障害ではなかったのです。
(ただ、その大学病院は大人の発達障害を専門で診ている訳ではありませんでした。)


その後、現在の病院に行きました。

初診で伺った時に先生から様々な質問をされました。
そして、そこで導かれた結果が『ADHDでしょう』という診断でした。

その前に行った大学病院では個性だと言われた旨をお話すると、先生(現在の主治医)はこうおっしゃいました。

「検査結果も大事ですが、本人が様々な場面でどういう行動してどう困っているのか、それがADHDの傾向に多く当てはまっているのなら、それはもうADHDと診断して間違いないでしょうね。そういう診断の仕方もあるんですよ。」


目からウロコでした。


大人の発達障害を専門で診ているということは、こういうことなのか!と驚きました。

通院しながらお話を伺っていても、他の患者さんの色々な事例やアドバイスがどんどん出てきます。
現在の病院に通っているからこそ、“前向きに取り組もう、これから頑張ろう!”と思えているといっても過言ではないです。

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私のような例がありますので、グレーゾーンはずっとグレーゾーンのままだ…とは一概に言えないのかもしれないなと思います。

だからといって、診断が出るまで病院を転々とするわけにもいかないので、難しいところではありますが…。


私の場合、特殊な例だったのかもしれません。ですが、ひとつの例として受け取ってもらえたらと思います。


長々と書き連ねてしまいましたが、今回の追記では『診断は絶対に必要なものではないけれど、診断の必要性を感じている人もいる』ということを知っていただきたいという思いから、書かずにはいられませんでした。

急いで書きましたので、抜けている部分や伝えそこねている箇所があるかもしれません。
また、今回の内容も私の一方的な見解であるということもあわせてお伝えしたいと思います。 失礼いたしました。


ここまでおつき合いくださり、ありがとうございました。


ADHDの診断を受ける必要性について掘り下げて書いた、連載記事の一覧です。

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*1:国際連合が毎年4月2日に定めた、自閉症の啓発を目的とした記念日 参考:世界自閉症啓発デー - Wikipedia

*2:16歳以上の成人用に標準化された、知能(IQ)を測るための一般的な検査 参考:ウェクスラー成人知能検査 - Wikipedia