若年性認知症のひとつ、『前頭側頭葉変性症*1(前頭側頭型認知症・ピック病)』
だと診断された母には、病期の進行とともに様々な症状が現れます。
私はそんな母の介護に頭を悩ませる日々を過ごしていました。
介護に翻弄される私を見ながら、夫はあることに気がつきます。
今回は、私に起こった出来事とそこから私自身が考えたこと。
また、私の母に対する気持ちの変化について話をしようと思います。
介護が思うようにできない私…実は?
私が母の介護をしていく中で、夫は私に対しある疑問を持つようになります。
- 私が母のところへ1人で通おうとしない(一緒に行きたがる)
- 介護に関する決めごとを自分だけで判断できず、全て夫に相談する
- 様々な話し合いにおいて、相手の話の意図がつかめていないことがある
夫が以前から私に感じていた“普通ではない”という疑い。
それが今回、私が介護に携わることでその“できなさ具合”は更に露呈し、
夫が持っていた疑いは確信へと変わります。
そしてこのことを機に、私はADHDの診断に至ったのでした。
※この記事と内容が一部リンクしています。
母のピック病と私のADHD、その共通点に気付く
自身がADHDだと診断された時、私は大人のADHDとは何か全く知りませんでした。
そこからまず書籍を購入し、大人のADHDについての勉強をはじめます。
そして、ADHDについての理解が深まるとともにあることに気がつきました。
『母のピック病の症状と、私のADHDの症状…似ている部分がある!?』
この2つが私の中で結びついた時、何とも言えない驚きを感じたのです。
ピック病とADHDの似ている点
- 外からの刺激を受けやすく、すぐに気が散ってしまう
- 落ち着きがなく、常にそわそわした状態
- 思いつきで衝動的な行動をしてしまう
- 金銭管理が計画的にできない
- 我慢ができない、したくない
- 怒りっぽいが、そのことをケロッと忘れてしまう
- 感情のコントロールが難しい
- 整理整頓や片付け、掃除ができない
- 面倒だと感じると行動に移すことができない
- 実年齢よりも精神的に幼さを感じる(子供っぽい)
気付いた範囲内で挙げてみましたが、 重なる部分は多い気がします。
(似ていないと思った部分は除外しています)
私なりの考察
ADHDとピック病。
この2つの症状に共通点があるとすれば、関係する所は“前頭葉(前頭前野)”の部分。
そこが2つを結びつける重要な箇所ではないかと考えます。
ADHDの人は、前頭前野を含む脳の働きにかたよりがあると考えられています。
ピック病の人は、前頭葉(及び側頭葉)が変性、萎縮をしてしまいます。
どちらの症状にも“前頭葉(前頭前野)の働き”が影響しているようです。
その働きが2つの症状を似たものにしているのなら、とても納得がいきます。
とはいえ、ADHDもピック病もその症状の出方には個人差があります。
私と母は親子なので、似た症状が見られてもおかしくはないと思われます。
私の個人的見解の元で今回の話をしてみました。
月子、母を想う
私自身の“ADHD発覚”は、私の気持ちに大きく影響しました。
介護に対しての取り組みも、ある程度できなくても仕方ないと思うことで、
心に少し余裕が持てるようになりました。
また、母の病状についても自分と似たような点に気付くことにより、
母の気持ちや行動がなんとなく理解できるようになりました。
そして「まぁ仕方ないよね。」と、母と一緒に笑えるようになったのです。
子どもの頃から親の期待に応え、その後、私たちの親としても頑張り続けた母は、
徐々に子どもっぽくなっています。
あまり幸せを感じてこなかったように見えた母ですが、
病気が発覚する少し前に「今が一番幸せ♪」と言っていました。
今、私自身は母を見ながら、“今が一番幸せなのかもなぁ”と思うのでした。
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*1:大脳の前頭葉と側頭葉の委縮が目立つ脳疾患で、主に若年期(40歳〜64歳)に発症。2015年に厚生労働省の難病に指定された。
参考:難病情報センター | 前頭側頭葉変性症(指定難病127)