私がADHDだと診断されてから約2年が経とうとしています。
振り返ると、この2年間は本当に様々な出来事がありました。
そんな感じなので、このブログで書きたい内容はまだまだ山ほどあります!
これからものんびりとお付き合いいただけると嬉しいです。
- ADHDと環境的要因の関係性とは?
- エイメン博士の書籍、新訂版「Healing ADD」
- ヒント①:カフェインとニコチンについて
- ヒント②:運動について
- ヒント③:睡眠について
- 「わかっているのにできない」脳
- 最後に
ADHDと環境的要因の関係性とは?
最近、“ADHD(発達障害)は生まれつきのものではあるが、
その後の環境的要因もかなり大きく影響する”ということを学んだ私。
前回は環境的要因のひとつと考えられる『食事』についてお話をしました。
今回も引き続き、ADHDと環境的要因との関係性について取り上げ、
そこにADHDと上手に付き合っていくヒントを探してみたいと思います。
エイメン博士の書籍、新訂版「Healing ADD」
Enhancing ADD Brain Function: Effective Interventions for Treating ADD Types, Including Diet, Exercise, Medications, Supplements, and Behavioral Interventions
CHAPTER 18 - Healing ADD Revised Edition: The Breakthrough Program that Allows You to See and Heal the 7 Types of ADD[Kindle版]
訳:ADD*1の脳機能を高める:食事や運動、薬やサプリメント、および行動への干渉を含め、ADDタイプの治療に効果的な介入をする。
アメリカの精神科医ダニエル・エイメン博士の書籍『新訂版「Healing ADD」』より
【エイメンクリニック ADDの脳向上プログラム】内の18章(CHAPTER 18)の
タイトルを引用しました。
この章の中からADHDの環境的要因となる部分を紹介していきます。
ヒント①:カフェインとニコチンについて
- カフェインとニコチンは、脳研究において脳全体の血流量を減少させ、時間とともにADHDの症状を悪化させることが示されました。
- さらに経験上、ニコチンとカフェインの両方とも薬やサプリメント治療の効果を減少させ、薬から受ける副作用の量を増加させます。
- もし可能であれば、ADHDの症状に寄与する全ての薬物治療も停止します。
『朝コーヒーを飲むと、その後とても集中できる』と感じることありませんか?
私はコーヒーを飲むとシャキッとする気がして、朝だけではなく
日に何度も飲んでいました。
ですが、エイメン博士曰く、
「確かにカフェインは、リタリン*2やアデラル*3と同様に脳神経伝達物質と
似たような働きをし、短期的により集中したような感じにさせます。」
「残念ながらカフェインはまた脳の血流を減少させ、時間とともに
ADHDの症状をより悪化させることになります。」
と、カフェインの作用についてこう指摘していました。
同じカフェインを含む緑茶*4については、超オススメとのことです。
その内容は前回の記事内、エイメンクリニック『脳に健康的な食事の9つのルール』
<ルール2>で触れていますので、よろしければ併せてどうぞ。
ヒント②:運動について
- 運動は脳血流を向上させます。
- 脳内のセロトニンの有効性を高め、帯状回の過活動を静める傾向があります。
- 運動はADHDの全タイプ(特にタイプ1、2、3、及び5)にとって有益です。
※ADHDのそれぞれのタイプについては過去記事を参照してください。
ADHDの中でもタイプ3『過集中型ADHD』の人は、脳の前帯状回の過活動*5により、
注意の切り替えが苦手、強迫行動、強迫観念、心配性、柔軟性の欠如…等の
症状が特徴的となります。(強迫性障害の患者と同様とのこと)
これらの症状の原因にセロトニン不足が関連すると言われていますが、
運動をすることでセロトニンの分泌が増えるため、前帯状回の過活動に
関する症状の緩和が期待できます。
運動の具体的な内容とは?
- 週に4~7日、1日30~45分程度歩く(または歩くことに相当する運動をする)
- 脳のために散歩ではなく、早歩きで歩く
- 筋肉量とホルモンの働きを最大限に活用するため、週に2回筋トレを行う
エイメンクリニックでは、患者さんに上記の運動をすすめています。
どうやら日常的に有酸素運動を行い、たまにハードな筋トレを入れることが
大事なようです。
“頭を守る”ということの重要性
『頭部外傷により、重篤なADHDに似た症状を引き起こす可能性がある』
前頭前野と側頭葉は脳の中でも傷つきやすい場所に位置するため、
頭部外傷がたとえ「軽傷」だったとしても、性格が変わってしまったり
学習能力が損なわれたりすることがあります。
また、軽度なタイプ2『不注意型ADHD』を重度なタイプ4『側頭葉型ADHD』に
変えてしまうことが可能だそうです。
遺伝によらないADHDの原因として、その頭部外傷が挙げられるそうですが、
ADHDを持っている人の場合は、その多動や衝動性のせいで普通よりも
頭部外傷を負う確率が高くなることを、エイメン博士は指摘していました。
以上のことから、自転車やスノーボードなど転倒で頭をぶつける可能性がある
運動やスポーツを行う場合は、ヘルメットを被るようにし(子どもは特に)
また、頭部をより多くの危険にさらすような活動は行わないようにしましょう。
ヒント③:睡眠について
- 一般的に、睡眠時間が6時間以下の人は脳全体の血流が低下し、その機能を損ないます。
- ある研究で慢性的な8時間未満の睡眠は認知低下に関連していると判明しました。
- ADHDの人は、7~8時間の睡眠を取るように努めてください。
慢性的な不眠症は、あらゆる原因による死亡のリスクを3倍にするそうですが、
睡眠障害はADHDを持っている人々にとって共通の問題です。
睡眠不足は脳への影響を一番感じやすいのではないかと思っています。
私も以前は睡眠を削って自分の時間を作っていましたが、日中の肝心な時に
眠くなったり、作業効率が落ちたりと結果的にはマイナスでしかない気がします。
『脳の機能を最大限に活用するためには適切な睡眠が不可欠』
書籍の第25章【Sleep Strategies(睡眠戦略)】では、起床と就寝のための
効果的な戦略について、たっぷりと語られています。
もし内容に興味を持たれた方は書籍でご一読ください。オススメです!
「わかっているのにできない」脳
書籍の中から紹介したい内容は、まだまだ山ほどあります!
全部を記事にはできないので、実際に本書を読んでいただきたいのですが、
洋書を翻訳しながらでは、やはり理解するにも限界があります。(英語苦手…)
この記事で紹介したエイメン博士の書籍は、2013年12月発売の新訂版でして、
その前書である書籍「Healing ADD」は、日本でも2001年に翻訳され
『「わかっているのにできない」脳』という書名で2冊に分かれ出版されています。
現在は絶版となったのか、中古本でしか購入ができない状態です。
私は先日、運良く「1」の方を手に入れることができましたが、
やはり日本語で読むと自身の理解度が全く違います!
内容が大きく変わっていない部分は日本語の本で、新しく書かれた部分は
洋書の方で確認…といった感じで読み進めました。
今回の記事で紹介した部分は『「わかっているのにできない」脳〈2〉』の方に
書かれた内容となります。
調べてみると図書館でもこの書籍を取り扱っているところがあるようです。
エイメン博士が診られた患者さんの話なども含め、参考になる部分が多いので、
ADHDについて深く知りたい方はぜひ読んでみてくださいね♪
最後に
今回も、エイメン博士の書籍を元にADHDと上手に付き合っていくための
ヒントについて考えてみました。
現在、私が実践できていることは『カフェインと睡眠』の部分です。
タバコは私も家族も吸わないので、ニコチンの部分は大丈夫ですが、
コーヒーと紅茶が好きな私は、カフェインの摂り過ぎに気を付けています。
後はきちんと運動を取り入れることができれば…かなり違うのかしら!?
とは思うのですが、なにせ出不精な上に怠惰なもんで全然実行に移せません(泣)
私が主治医からよく言われる言葉があります。
「全部頑張ろう!と思わずに、できるところから少しずつを心掛けてみましょう。」
一気にやろうとすると色々と負担が大きくなり、結局続かなくなってしまいます。
自身のADHDと上手に付き合うためには、『できる範囲・程度を知る』ことも
併せて必要なのかも…と思う今日このごろでした。
↓ ADHDの『先延ばし』に困っている方へのオススメ記事です。
↓ 大人の発達障害が急増している理由について考えてみました。
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*1:エイメン博士は「ADHD/ADDの障害を持つ人の半分は、多動を持っていない(特に女の子)ので、多動性(H)の要素を強調するADHDという名称より、ADDという名称を好む。」とのこと。
*2:商品名:Ritalin 日本では以前ADHDの治療薬として使用されていたが、現在はナルコレプシーのみが適応症となっている。同じメチルフェニデートを成分とした徐放製剤のコンサータが現在はADHDの治療薬として認可されている。
*3:商品名:Adderall アメリカでADHDの治療に使われている薬(アンフェタミン製剤)。日本では違法薬物となる。
*4:エイメン博士、『緑茶は最高!』と語っていました。
*5:前帯状回とは脳の前頭部の深いところにある細胞群で、この部分の血流が増えると過活動の状態となる。
前帯状皮質 - Wikipedia