2017/06/09:内容更新しました
ADHDだと診断を受けてから、まだ1年未満な私、月子。
そんな私が発達障害だと自覚をし、自分なりに考えたことや感じたこと等を思うまま目一杯詰め込む形でこのシリーズを書いてきました。
そして今回、長々と続いたこのシリーズも、遂に終わりを迎えるところまで辿り着きました。
言いたかったことなどは前回までで大体伝え終えましたので、サクッと要点をまとめつつ、私が感じている“発達障害の診断名がつくことのメリットとデメリット”についてお話ししたいと思います。
“発達障害の診断を受ける”ことのメリットとは?
そもそも、なぜ発達障害の診断を受けようと思ったのか?
その必要性や目的等については、このシリーズ内にて何度かお話していますので、そちらを参考にしていただければと思います。
ここでは、発達障害の診断が出ることにより得られるメリットについて、具体的な例を挙げながらお話を進めていきます。
自身に合わせた治療を受けることができる
発達障害の診断名が出ることにより、それぞれの障害に合わせた治療に取り掛かることができるようになります。
これはとても重要なことであり、自身が日常生活をする上で困っていることが少しでも早く解消できるようになる近道だと思っています。
発達障害の治療については、いくつかの治療法を組み合わせて行われます。
- 薬物療法
- 認知行動療法
- 環境調整法 等
自身が持っている発達障害(ADHD・自閉症スペクトラム等)によって治療の内容が変わってきますので(障害を併存している場合も含む)、どの治療法を取り入れるのかは医師と相談しながら進める形となります。
支援機関にて相談ができる
発達障害を持つ人を支援するための専門機関を活用し、相談等をすることができるようになります。
◆発達障害者支援センター
発達障害者支援センターの事業内容は、以下の4つに分かれています。
- 相談支援
- 発達支援
- 就労支援
- 普及啓発・研修
こちらのセンターでは、発達障害者本人または家族が日常生活の様々な困りごとについての相談をすることができ、必要に応じて、福祉制度やその利用方法、保健、医療、福祉、教育、労働などの関係機関への紹介も行ってもらえます。
発達障害の診断を受けていない場合でも相談をすることは可能ですが、基本的に診断が出ている人のための機関となりますので、まずは電話を掛けて問い合わせをした方がいいかと思います。
(実際に我が家の場合「発達障害の診断をされないことには利用が難しい」とのことで、まず病院を紹介されました)
◆精神保健福祉センター
精神保健福祉センターは、主に精神疾患・精神障害を持つ人の自立と社会復帰を支援するための専門機関で、各都道府県に設置されています。
広義の精神疾患(アルコール依存や認知症等も含む)を対象としているため、発達障害について専門的に対応する機関ではありませんが、発達障害専門相談(電話)の窓口を設けているセンターも増えてきているようです。
また、精神保健福祉センターによっては精神科デイケア*1を行っているところもあります。
お住まいの精神保健福祉センターが精神科デイケアを行っているか確認したい場合は、下記のリンク先より在住する都道府県指定都市のウェブサイトを参照するか、Google等を使用して『精神保健福祉センター 精神科デイケア ◯◯←都道府県名』で検索をしてみてください。
支援機関にて就労支援を受けられる
就職を考えている、または就職に向けて準備をしたいといった場合に、就労の支援機関の活用が可能となります。
◆ハローワーク(公共職業安定所)
発達障害をよく理解している専門職員を配置し、個々の障害特性に応じたきめ細かな職業相談を実施しています。
就職先を探す場合、障害者手帳を持っていなくても相談等に応じていただけるそうなのですが、障害者枠での求職登録をする場合には、障害者手帳と主治医の意見書が必要になるとのこと。
※発達障害は今現在、精神障害者に対する手帳制度『精神障害者保健福祉手帳』の対象となっています。
詳しくは、お近くのハローワークへ直接問い合わせください。
また、ハローワークインターネットサービスでも求人情報の検索が可能です。
ハローワークインターネットサービス - 障害をお持ちのみなさまへ
◆地域障害者職業センター
独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構が設置・運営する障害者職業センターの一つで、障害者の就労を支援する機関として各都道府県に設置されています。
こちらのセンターではハローワークとの連携の上、障害者に対しての職業相談・職業評価、職業準備支援、職場適応援助等の専門的な各種職業リハビリテーションを実施しています。
利用料は無料で、障害者手帳を持っていなくても利用可能となっています。
また、障害者が職場に適応できるようジョブコーチを派遣して、就労継続支援も行っています。
雇用前の職場実習、雇用と同時、雇用後の3つの段階で活用することができます。
(ジョブコーチについての詳細はこちら → ジョブコーチとは)
◆障害者就業・生活支援センター
障害者の職業的自立を実現するため、ハローワーク・地域障害者職業センター・社会福祉施設・医療機関等の地域の関係機関と連携しながら、障害者の身近な地域において就職面及び生活面における一体的な相談・支援を行っています。
障害者雇用促進法に基づいて、都道府県知事が指定した公益法人(社団または財団)や社会福祉法人、特定非営利活動法人(NPO)などが運営しています。
◆職場適応援助者(ジョブコーチ)
ジョブコーチ(job coach)とは、障害者の就労に当たり、出来ることと出来ないことを事業所に伝達するなど、障害者が円滑に就労できるように、職場内外の支援環境を整える者を指す。
ジョブコーチ - Wikipedia
ジョブコーチ支援とは障害者本人だけではなく、事業所や障害者の家族に対しても職場適応に関するきめ細かな支援をする公的なサポート制度です。
ジョブコーチ支援には以下の3種類があります。
- 配置型ジョブコーチ
- 訪問型ジョブコーチ
- 企業在籍型ジョブコーチ
このブログを書くにあたり様々な相談・支援機関を調べてみましたが、上記で挙げた支援機関以外にも多くの支援施設等があり、そしてその種類はあまりに多く、どのようなケースの時にどこに相談すればいいのか、正直分かりにくい感じがしました。
先ほど紹介した厚生労働省の『障害者の方への施策』というページ内のリンク先にて“障害者雇用に関する各種援助・援助メニュー一覧”がPDFでアップされています。
↑ 少し見難いかもしれませんが、就労を希望される方の参考にはなるかと思います。
また、厚生労働省のウェブサイトには障害種別の支援策として発達障害を対象とした就労支援ページも用意されています。
公的な福祉サービスが受けられる
病院での診断が出ることにより、精神障害者保健福祉手帳の取得が可能となります。
ただ、発達障害だと診断されるだけで手帳取得の対象となるわけではなく、下記の条件を満たすことが必要となります。
- 初診日から6ヶ月以上経過している
- 1級:日常生活が1人ではできない状態
- 2級:日常生活に困難がある程度
- 3級:日常生活・社会生活の制約がある程度
障害者手帳の申請については、発達障害ゆえの社会生活や日常生活における困難さ等が主治医に伝わっていれば、申請が通らないということはないと思います。
精神障害保健福祉手帳の取得により受けられる主な福祉サービスは以下の通りです。
- 所得税・住民税等、各種税金の控除
- NHK受信料の免除
- ハローワークにて障害者求人に応募できる
- 公共・民間施設の入場料・利用料の割引
(美術館・博物館・動物園・水族館・映画館・テーマパークなど) - 鉄道・バス・タクシー等の運賃割引(各自治体による)
- 携帯電話料金の割引
その他、自治体によって様々なサービスがあります。
詳しくはお住まいの市区町村のウェブサイトを参照してください。
“発達障害の診断を受ける”ことのデメリットを考える
まず、私自身が診断を受けることでデメリットを感じたかどうかについてお話したいと思います。
“発達障害の診断を受ける”ことで私が感じたデメリットは…
ゼロです!
間違いなく、そう断言できます。
自分自身の出来なさ具合やら、家族に迷惑をかけているレベルを前もって自覚していただけに、診断結果についても納得できましたし、障害があるとわかった時点で色々なことへの気持ちの切り替えはすんなりとできました。
(前もって自覚していたとは書いたものの、それらのことを自分で気がついた訳ではなく、夫に何度も言われて自覚していったという感じでした)
診断を受けたことを誰かに言わなければいけないか?というと、もちろん言う必要はありませんし、自分からそのことを言わない限り他人は知り得ないことです。
ですので、自分が伝えておきたい人もしくは伝える必要がある人にだけ話をすれば十分だと思います。
私自身についてはデメリットはゼロだと感じたのですが、皆が皆そう感じるかといえば…そこは微妙なようです。
自分で自身の発達障害を疑った人や少なからず自覚がある人の場合、診断結果が出た時にそのことを受け入れる心構えはできていると言えそうですが、そうではない場合ではどうでしょうか?
例えば、家族に勧められての受診だったり、まさかとは思うけど一応…という気持ちでの受診だった場合には、もしかすると発達障害があるという診断結果を受け入れられないかもしれません。
診断結果とは、ある意味『定型発達者』と『発達障害者』との線引をはっきりさせるものだと言えます。
自分自身が障害者であると認めることができない人にとっては、ただただツライ結果でしかないのかなとも思います。
そういった方々にとって“発達障害の診断を受けること”は、デメリットなのかもしれません。
また、もう一点。
“発達障害の診断名”は免罪符ではありません。
私自身も微妙に勘違いしがちなのですが、“診断名が出ることにより周囲の理解や支援が自然に得られて、今までよりも楽になる!”…というようなことはないのです。
診断名を“免罪符的に使う(例えば「発達障害だからできません」等)”ことで、嫌なことややりたくないことから逃げていると、周りから『発達障害のせいにして逃げている』という風に取られ、さらに自分が傷つき苦しむ結果となってしまいます。
周囲の人に理解してもらえるように働きかけをするのは自分自身です。
医師や支援者(家族や友人等もしかり)はあくまで、その手助けをしてくれるだけに過ぎないのです。
病院に行って診断をしてもらえたら、自動的に道ができて理解や支援や環境が整い、楽で幸せな生活が過ごせるようになる!と、漠然とでもそんな風に考えているのならば、“診断名”をもらっても「思っていたのと違う…」と後悔し兼ねません。
このような場合でも、もしかすると“発達障害の診断を受けること”を結果としてデメリットに感じてしまうのかも…と思った次第です。
サポートグループに参加する
現在、発達障害の人たちを対象としたサポートグループ『自助グループ・家族会・親の会など』が各地でつくられています。
このようなグループや団体では、当事者や家族同士で情報交換を行ったり、お互いに悩みを打ち明けたり、また困りごとに対する工夫やアイディアを出し合ったりといった活動をしています。
同じ悩みや困り感をもった仲間が集まる場となるため、お互いに共感を覚えることがあったり、仲間がいることが自身の心の支えになったりと、参加することのメリットは大きいと思われます。
もしかすると、発達障害ということを自身でなかなか受け入れられないという人も、こういう会に参加することにより、同じような悩みを持った人と共感しあうことができるのかもしれないですよね。
また発達障害を専門に診ている病院によっては、院内にて発達障害のグループワーク等が行われているところもありますので、そちらに参加するのもプラスになるかと思います。(私が通院中の病院でもグループワークが行われており、私自身も今後の参加を考えているところです)
発達障害の診断を受けて
以前記事内で書きましたが、発達障害の診断とは“診断が出たところで終わる”のではなく、“診断が出たところがスタート地点”となります。
自分自身を知るために必要な“第一歩”を踏み出したといった感じでしょうか?
また『今現在、自分が困っていることを解消したい』という大事な“目的”を達成するための手段として、“発達障害の診断を受ける”という選択肢を選んだはずです。
発達障害の診断が出て、その“診断名”が付くことで得られるメリットを活用し、自身が今現在困っている状況を解消する方向に向かっていただきたいと思います。
(因みに、私自身が今現在活用できているメリットは『診断名に合わせた治療と精神障害保健福祉手帳の取得』以上の2点です)
発達障害の人の場合、少なからず周囲のサポートが必要になる場面が出てきます。
その相手は家族や友人、職場の同僚、医療関係者や支援機関の方かもしれません。
家族や友人、職場の上司や同僚との付き合いにおいては、何もかもを1人で抱え込んだり、また一方的に頼りきってしまうのではなく、お互いの苦手なところを補い合える関係性を築くことが理想的と思われます。
また、医療関係者や支援機関の方からは上手にアドバイスや支援を受け、日々の生活が少しでも楽に過ごせるような環境を作ることも必要かと思います。
私自身もスタートラインを切ったばかりですので、これから色々と取り組んでいきたいと思っています。
最後に
今回がシリーズ最後の記事となりましたが、いかがだったでしょうか?
ちゃんとまとめられたのか少し不安は残るところですが、伝えたいと思っていたことは大体盛り込めたんじゃないかな?と自己満足中です。
今更どうでもいいことなのですがシリーズ全7回を書き終えるのに、なんと4ヶ月強もかかっています!
…いや、これ、時間かかり過ぎですよorz
ブログ更新のペースダウンがあからさま過ぎて泣けてくるレベルです。
次回からは気持ちも新たに、この4ヶ月の間に起こっていた出来事等について、当時を振り返りつつ書いていきたいなと思っております。
ここまでお付き合いくださりありがとうございましたm(_ _)m
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参考:デイケア - Wikipedia