若年性認知症のひとつ、『前頭側頭葉変性症*1(前頭側頭型認知症・ピック病)』。
2013年の初冬、母がそのピック病だと診断されました。
私は、突然やってきた母の介護に何の心構えもできず向き合うこととなったのです。
病気の進行とともに母には様々な症状が現れました。
今回は、ピック病の発症により変化してしまった母について。
また、その介護の内容についても少し触れたいと思います。
ピック病とは?主治医の話より
【ピック病】原因や特徴
- 前頭側頭型認知症(FTD)*2の1つ
- 大脳の前頭葉から側頭葉にかけての部位が委縮し、認知症が生じる神経疾患
- 40歳以降~65歳頃までに発病することが多く、男女比はほぼ均等
【ピック病】現れる症状
- 人格の変化と社会的行動の障害(反社会的な行動をする)
- 周囲や自己の衛生に無関心、going my way(身勝手)な行動や常同行動
- 食べ物へのこだわり、好みの変化等の食行動異常
ピック病は若年性認知症であるため、進行が早い可能性があることを告げられます。
また、母には感情や情緒が見られるので、まだ初期の段階だと言われました。
母に現れた、ピック病の主な症状
異常な食行動
- 甘いモノを異常に好み、大量摂取をすることでどんどん太るという結果に
- 毎日同じメニューを繰り返し(常同的食パターン)、更に味付けは濃くなった
- 症状の進行に伴い、何でも口に運び噛んでしまうように(お箸・携帯・紙など)
人格の変化と行動の障害
- 些細な事で怒りだしたり、状況に対する衝動や感情を抑えられなくなる
- 自分勝手な我が道を行く行動が増え、他人の目を全く気にしない振る舞いに
- 同じ服を着続けたりお風呂に入らなかったりと身だしなみに無頓着になる
同じ行動を繰り返す
- 急に散歩にハマり、歩くような距離ではない場所に歩いて行くようになる
- 好きなTV番組ばかりを際限なく観続ける
- 脈絡なく同じ話をしたり、面白いと思った事柄を繰り返し行ってしまう
日常生活で起こった変化
- 金銭管理や整理整頓、掃除ができなくなる
- やるべきことができず、特に日時が関係する約束はほぼ守れなくなる
- 目で見たものに行動が影響されやすくなり、反射的な反応をしてしまう
ピック病は発症しても、本人が自分自身の変化に全く気づきません。
自身が“病気である”という自覚がないと、家族や周りの対処がより難しい。
母の介護をしながら、そのことを思い知らされたのでした。
月子流の介護とは?
私自身、介護とは“自分1人で抱え込んで頑張るものではない”と考えています。
家族や医療・介護・福祉など専門職の方々の力を借りながら、要介護者を支える
一つのチームとなって、介護に取り組むことが大切だと思っています。
母の症状を見ながら、どの部分において介護の支援のお願いができるのか?
介護のプロの方々とコミュニケーションを図り、その都度対応を考えてきました。
ですが、月単位レベルで介護の内容や負担は増えていったのです。
母の介護で一番大変だった部分は日々の金銭管理でした。
生活費を母の年金内に収める為に、生活必需品以外の出費を控える必要があります。
買い物は自分で行きたがったので、母の通帳を預かって週2回決まった額を渡したり
レシートを管理して収支のチェックをしたりと、細かい作業を行っていました。
同じ物を何度も購入する行動が現れた時には、食材管理表を作成したりもしました。
病気の進行により自分でできないことが増えていった母。
その度に対策を考え対応をしなければいけない状況になる私。
思ってた以上にそのスピードは早く、介護どころか考えるのも嫌になっていました。
そしてついに、そんな私を見ていた夫はあることに気付いたのでした。
そのことについては、また次回お話しようと思います。
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*1:大脳の前頭葉と側頭葉の委縮が目立つ脳疾患で、主に若年期(40歳〜64歳)に発症。2015年に厚生労働省の難病に指定された。
参考:難病情報センター | 前頭側頭葉変性症(指定難病127)
*2:前頭側頭型認知症とは前頭側頭葉変性症の1つで、ピック病や運動ニューロン疾患型、前頭葉変性症がこの中に含まれる。
参考:前頭側頭型認知症(FTD)とは | 認知症ねっと