大人ADHD 月子の生き方

アラフォーにして、突如『大人のADHD』と診断された月子。 迎えた転機に人生を見つめ直し、新たな生き方を模索すべく日々奮闘中!

“主語がない!”ADHDの女性の会話における3つの特徴

2018/06/27:内容更新しました


私はADHDという発達障害を持っています。

今回はそんなADHDの私が、家庭内外で繰り広げてしまう会話について

自分なりに考察してみることにしました。


ADHDの女性の会話における3つの特徴を、問題点として挙げています。

少し長めの記事となりますが、よろしければお付き合いくださいませ。

※2016年9月5日 分かりにくい部分があったので内容を少し変えました。

 

1.“主語・目的語”が抜ける問題!

「ねぇ、もう飲んだー!?」


私が夫に話しかける際の会話ですが、

夫はもちろん何のことを言われたのかさっぱりです。


上記の会話、私の中では夫に『食後の薬はもう飲んだのか?』

ということを確認したつもりなのですが、

“誰が、何を”という部分が完全に抜け落ちています。


これくらいの会話なら、まだカワイイ方で。


ADHD イラスト 主語・目的語が抜ける


「お着替えしててー!」


つい先日してしまった会話です。

この発言だけ見ると、子どもに話しかけているように思えますよね?

…違います(泣)

『子どもを早く着替えさせたいので、着替えを手伝ってあげて!』

という意味が含まれ、確実に夫へと言ってます。


なんの返事もなかったので、再び言ってみたところ

「えっ!まさか俺に話しかけてるの?」と、

夫から返されてしまいました。


そもそも私が、“お着替えをさせて”とも言っていないので、

夫は子どもに直接言っていると認識したようです。

確かにそれで合っています。

ですが、この時私の頭の中では、

『子どもでも夫でも、どちらかが気がついて動いてくれればいい。』

という意識も働いていたため、こういう言葉を選んだようです(多分)。


文章を略しすぎたりあいまいな表現をすると、結果的に誰にも伝わりません。


自分に近い人に話しかける時ほど、言葉を抜いた話し方をしがちです。

それはきっと、自分の言葉を相手が理解してくれて当たり前だという

気持ちがどこかにあるからだと思います。

 

どうして“主語・目的語”が抜けるのか?

言葉が抜ける問題には、発達障害を持った人の特性として言われている

“自分と他人との境界線があいまいな、自他境界の問題”

が大きく関係しているのでは?と、私自身は考えています。


分かりやすい会話の例を、一つ挙げてみます。


「あ、こんなところにもあるんだ。」


夫の運転する車の助手席に座っている私。

車窓から見えた、自分がよく行くお店(チェーン店)の別の店舗を見ての発言です。

大抵の方が“ひとりごと”だと認識しそうですが、私は夫に話しかけています。


この発言から分かることは、

  • 他人と自分とが同じ物を見ているという前提で話をしている
  • 相手が同じ物を見ていているとは限らないという想像力の欠如
  • 視界に入ったものに対し、反射的に反応・発言をしている
  • 相手に分かるように話をするという意識が弱い

こんな感じでしょうか?


発言した後に、“そうだった!夫が同じ物を見ている訳じゃなかった!”

と気付くこともありますが、思ったことを反射的に口にすることが多く、

日常的にこのような会話をしがちです。

ADHD イラスト 主語・目的語が抜けると伝わらない

 

“自分の考えを相手もわかっている”という、勝手な思い込み

私自身、唐突に会話をはじめる場面も多々あります。

“自分の頭で考えていたことを、途中からそのまま口にしてしまう”ため、

そういうことが起きてしまうのです。

自分の思考と会話は一連の流れで繋がっていますが、相手には

口に出していなかった思考の部分が、伝わっていないということに気付かず、

前振りがない状態で会話をはじめてしまいます。


こういう場合も、相手は脈絡なくはじまった会話にとまどいを感じます。


さらにADHDを持っている人は、頭の中も多動である場合が多く、

考えていることが次々とかなりの速さで移っていきます。

そして、自分の考えていることを衝動的に口にすることが多いため、

話を投げかけられる相手は、飛びまくる話についていけるはずもありません。

どうやらADHDを持っている人は、会話において相手を疲れさせる要因が

いくつも重なっているようです。


私自身、自分と他者は別の人間であるという理解はできているのですが、

日常生活の中ではついつい、境目があいまいになりがちです。

そして、それが会話にははっきりと出てしまっています。

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↑ この記事内の最後の見出し発達障害があるということ”の中でも、

自他境界について少し触れています。

 

 

2.誰に話しかけているの?問題!

「ねぇ、聞いてる?」


「え、何?聞いてなかった!」


私と夫の会話の中で、よく出てくるフレーズです(笑)

ADHD イラスト 誰に話しかけてるの?


私が少し離れている場所にいて、話しかけているのかすらわからないので、

夫は“何か話してるな、ひとりごとかな?”と思ってしまうようです。

“えー!めっちゃ話しかけてるのにー!”と私が言ってみたところ、


「まずね、話を聞いてもらいたい相手の名前を呼ぶか(離れているので)、

相手が話を聞く体制になっているかを確認してから話し出そうね。」


「まぁこれが、脳のフィルター機能と言われるものなんじゃない?」


続けてこう、夫に言われました。

 


ガーン!!!


目からウロコが落ちました!ポロポロと、何枚もです!!

 

 

ADHDの人は“脳のフィルター”が未熟

カクテルパーティー効果 - Wikipedia

カクテルパーティーのように、たくさんの人がそれぞれに雑談しているなかでも、自分が興味のある人の会話、自分の名前などは、自然と聞き取ることができる。このように、人間は音を処理して必要な情報だけを再構築していると考えられる。

カクテルパーティー効果 - Wikipedia

これは、様々な雑音が存在する状況でも、自分に必要な情報だけを選択し

聞き分けることができるという脳の働きのことを指しています。

ADHDを持っている人は、選択的注意*1という心理学用語の代表とされる

『カクテルパーティー効果』が上手く働いていないと言われています。


ADHDはどのような原因によって起こるか - 知って良かった、大人のADHD

ラリー・シルバーは、ADHDは「網様系」として知られている脳の下部のフィルター機構がうまく働かないために起こるという仮説を提唱しています。それによれば、脳が十分に覚醒していないために、下部の脳から入ってくる刺激が前頭葉にうまく伝達されなかったり、不必要な五感の情報を選り分けることができずにすべての情報が前頭葉に無差別に伝わったりしてしまいます。[…略…]注意散漫なのは、不必要な情報を取捨選択できずに無差別に脳が受け止めているからです。(P241)

ADHDはどのような原因によって起こるか - 知って良かった、大人のADHD

『カクテルパーティー効果』とは、この脳のフィルターのことを指しています。


以上のことから、定型発達者は自分にとって必要でないと判断した

情報は脳でカットし、必要だと感じた情報だけを聞き取っていること、

またADHDを持っている人は、それができていないことが分かります。

ADHD イラスト フィルター機能、発動中!

 

定型発達者とADHD、聞き取り方の違いについて

せっかくなので同じ条件下において、定型発達者と私

音の拾い方がどう違うのかを比べてみたいと思います。


【定型発達者】(私の予想)
  • TVがついた状態で会話をしても、会話に集中することができる
  • 集中している時には他の音が気にならなくなる
  • 注意を向けることで、必要な音を聞き取ることができる

【ADHDの人】(私の体感)
  • TVがついた状態での会話は、TVも会話もどちらも入ってくる
  • 集中していても他の音が鳴ると集中が途切れて、音の方に注意が向く
  • 注意を向けても必要な音以外の音も、耳に入ってきてしまう


聞き分けが全くできない訳ではないのですが、かなり意識をしないと

聞き取れないので、日常的に行うことは困難だと感じています。


私自身は全ての音に脳が反応をしてしまうため、誰かが話をはじめると

勝手に耳が拾い、注意がそちらに向きます。

なので、相手の話を『聞いてなかった』という割合が少ないです。

ただ、周りに音が多すぎて『聞こえなかった』という場合があることと、

意識が完全に飛んで“ぼーっとしている”(スイッチが切れている)状態の時は

『何も聞こえない』ということが起きます。

 

“フィルター機能”により、聞こえていない可能性

ADHD イラスト 10人の相談に同時に応じ、返答する!

私自身は自分の聞こえ方しか知らないため、皆も同じように

聞こえるものだと無意識の内に思い込んでいました。

“話をはじめた人へは勝手に注意が向くので、その相手の話を聞ける”

ことは、当たり前だと思っていたのです。

でも今回、夫に指摘されてはじめて“違うこと”に気づきました。

同時に今まで気が付かなかったことに対し、とても衝撃を受けました。


今回のできごとから、定型発達者は何か別のことをしている時、

または集中をしている時には、フィルター機能の関係上、

まず“呼びかけないと注意が向かない”ということが理解できました。


んー。

プラス、夫にとって私の話は特に必要ではないと

感じていることがあるんだね!ということも分かりました(笑)

↑ 自身もADHDだと明かしている医師の書籍で、ADHDのことが詳細に分かります。

 

 

3.人の話に割り込んでしまう問題!

この問題は家庭内から飛び出した話になります。

“人の話に割り込んでしまう=他のグループ内の会話に急に参加する”

考えてもらった方が分かりやすいかもですね。


先程から話に出てくる“脳のフィルター機能”も関係していると思うのですが、

自分が参加していなくても、周りの人の会話は常に耳に入ってきます。

特に比較的静かな場所では様々な会話を、聞くともなく聞いています。

そのような状態なので、例えばそこで、あるグループが自分の気になる話題を

しだした場合、急に割り込んで会話に参加してしまうことがあります。

(さすがに、知らない人の会話には割り込みませんが…)


会話に入って来られた側からすると、“聞いてたの!?”と驚きますよね。


ADHD イラスト 人の話に割り込んでしまう


以前勤めていた会社の同僚に、ある時こう聞かれました。

「そんだけ色々なところの会話を拾って、疲れたりしない?」


聞いてきた方は、純粋に疑問を感じての質問だったようですが、

そのことでイヤミを言われたり、嫌がられてもおかしくない状況。

他にもしゃべりすぎる、人の話を最後まで聞かずに食い気味に話しはじめる、

人の話を途中で奪ってしまう、言わなくていいことまで言ってしまう

と、“話す”だけでもかなりハチャメチャです。

www.adhd-tsukiko.com

↑ この記事内の見出し“しゃべりすぎる”の中でも、この問題に触れています。

 

“発言も行動も多すぎる”背景には、特性が関係している

気配りができず、同性に嫌われる - 女性のADHD

人と関わっていたい

  • 他の人ととケンカをしたいわけではない。グループに入って、いろいろな活動をしたいと思っている

発言が止められない

  • 思ったことをすぐ口に出してしまう。言いたいことがいっぱいあって、相手に話す時間を与えない

行動も止められない

  • 他の人の気持ちや場の状況を考えるよりも先に、行動してしまう。「多動性」に加えて「衝動性」の特性も関わる(P15)
気配りができず、同性に嫌われる - 女性のADHD

ADHDを持っている人は、脳のフィルター機能が働かない上に、

ADHDの特性である「多動性」「衝動性」がダブルコンボで顔を出すため、

人の会話に首を突っ込むという迷惑な行動をしてしまうようです。


特性について、もう一つ。

ADHDを持っている人は、ワーキングメモリー(作業記憶)が小さいため、

実は会話やコミュニケーションが苦手です。


相手が話す内容を全部覚えきれない上に、その話の意図を十分に

くみ取れないところもあるため、大事な情報が抜けていたり、

自分なりに勝手な解釈をしたり、勘違いをしたまま覚えることがあります。

そしてそのまま事を進めてしまい、後から“そうじゃない!”と相手から

指摘を受けることに…って、これ全部私のことですよ(泣)

話を聞くことは相当難易度が高いので、メモなり何なりで対処しています。

ADHDの女性にオススメしたい一冊!女性のADHDの特性がよく分かります。

 

 

3つの問題の対処法とは?

ここでは3つの問題について、改善策や対処法を考えてみることにします。

 

1.“主語・目的語”が抜ける問題について

  • 5W1H『誰が(Who)・何を(What)・いつ(When)・どこで(Where)・どんな目的で(Why)・どのように(How)』を意識して話す
  • 話しはじめる前に、ひと呼吸置いてみる(状況を把握する)
  • 話をはじめた後でも、自分の言動がおかしいと気がついた場合には、もう一度言い直すクセをつける
  • 自分で抜けたことに気がつかない場合には、相手に指摘してもらう


この問題では、意識したり自覚することがスタート地点となります。

また、抜けている言葉の穴埋めを相手に投げてしまうことで、相手に

“負担やストレスをかけている”ということに気がつく必要もありますね。


これは申し訳ないのですが、会話の相手側の対処法も見つけました。

主語がない人の特徴と会話方法 | おすすめ情報 ランキングSite

 

2.誰に話しかけているの?問題について

  • まず、話を聞いてもらいたい相手の名前を呼ぶ
  • 相手が話を聞く体制になっているかを確認する
  • もし相手が集中しているようなら、話しかけるのを止める選択も
  • “あなたに話しかけています”という意識を持つことも大事


私のようなADHDの人が、定型発達者へ話しかける場合は、相手と自分は

“違う”ということを理解しておく必要もあると思います。

感覚が違うことを理解することは難しいのかもしれませんが、

相互理解とは、こういうところからスタートするのでは?と感じました。

“分かって!”だけだと、歩み寄りどころか相手の負担にしかなりませんしね。


そういえば、我が家では逆パターンとして、

“夫のひとりごとに私が反応する”ということもよくあります。

そんな、ひとりごとについての記事をそっと置いておきます。

独り言が多い人の心理的特徴7つ | 特徴.COM

↑ この記事がとても興味深かったので、新しく差し替えました。(2018/06/27:追記)

 

3.人の話に割り込んでしまう問題について

  • そもそもはじめから聞こえないようにする(耳せん、イヤホン等の使用)
  • もし会話に入りたくなった場合、ひとこと相手に断りを入れる
  • 意識して、聞き上手に徹してみる
  • ソーシャルスキルトレーニング(SST)を受けてみる
  • おっちょこちょいな愛されキャラへの転向を試みる


後の方ほど段々とハードルが高くなっているようですが、

実際にADHDの書籍等では対処法として紹介されている内容です。

努力や我慢をするより(そもそもそれができないところが問題なので)、

考え方や方向性を変えよう!というのも、大事な一つの手かな?と。

対処や工夫は必要ですが、無理は禁物だと思います。


興味が湧いた記事があったので、貼っておきます。

“聞き上手になろうと努力することで忍耐力、集中力、理解力も付いてくる”

らしいですよ!レッツ・トライ☆

「聞き上手」になれる15のポイント:日経ウーマンオンライン【話す!技術】

 

 

今回のまとめ

発達障害、特にADHDの女性にみられる会話について、私なりに述べてみました。

一言でADHDと言っても、その特性の現れ方は人それぞれなので、

当てはまる人、当てはまらない人どちらもいるのではないでしょうか?


また、こういった会話をしてしまう人は発達障害なのか?

という部分についても、“YES!”とは言えないと思います。

“こんな感じの特徴があるよー!”ぐらいに受け止めていただけると幸いです。


長くなりましたが、今回挙げた対処法を私もしっかりと

身につけられるよう頑張りたいと思います。

“そこからかいっ!”というツッコミは、一旦置いておきますね。


心当たりのあるお仲間さん!ぜひ、一緒に頑張りましょう♪


ADHDの特性については、こちらの記事もよく読まれています。

www.adhd-tsukiko.com

音により集中力が途切れがちな方には、こちらの記事がオススメです!

www.adhd-tsukiko.com


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*1:複数あるうちの1つ情報に対して向けられた注意のことを言う